坎為水(かんいすい)の解説|卦辞の読み解き方
爻が陰・陽・陰と重なるのを「坎」といい、穴や水の意味。また、易ではこれを悩みや険しさというように捉えます。それがさらに二段になっているのがこの坎為水です。
不安が迷いを呼び、その迷いがさらなる不安を呼ぶように、現状は混迷を極めていくでしょう。しかし希望はまだ残されています。
「有孚。維心亨」とは誠意を持って進めば、理想へと近づけるという旨を述べたもの。いわば、当事者の心が試されるときが訪れているのです。
坎為水は「三つの難卦」の一つとされていますが、貴重な成長のチャンスを教えてくれる運命のサインでもあります。
坎為水(かんいすい)の意味|大象の解説
大洪水の中を泳いでいくようなつらい状況を表しています。しかもその洪水は、去ったと思ってもまた次の波が訪れるのです。もはやこれまでと思えるような状況になることもあるでしょう。
しかし、これは幸せになるためのトレーニングのようなものでもあります。苦労ばかりで進展がないと感じたとしても、その中で確実に強くなれるのです。
もしこの荒波が耐え抜ければ、そのときにはもう何も怖くないほどの力を得られるでしょう。理想の幸せを掴めるようにもなりますので、それを思えば苦しさも和らぎます。
ただし、幸福が降り注ぐようになるまでは相応の期間を要するといわざるを得ません。それでもやり抜くしかないのです。
なお、坎が二段になったこの卦は「繰り返す」という意味も持ちます。今後の状況について占った場合は以前と変わらないと見るのが適切です。良いものも思わしくないものも、変わらず続くでしょう。
坎為水(かんいすい)の解釈|目的別の解釈
恋愛 | 進めようとしても上手くいかず、身を引けばどこまでも下がります。 もどかしくても現状維持に努めるのが最善です。 |
片思い | アプローチが思うように響きません。 諦めなければ少しずつ気持ちが届きます。 |
復縁 | なかなか応えてもらえません。 それどころか酷いことを言われる場合もありますが、やがては関係を修復できます。 |
結婚 | 幸福な結末に至るにはまだまだかかります。 状況は変わらないと思えても努力を続けること。 |
相手の気持ち | 二人の関係への不安が次々と沸き起こっています。 少しずつ信用を回復するしかありません。 |
仕事 | トラブルがさらなるトラブルを呼びます。 新しく何かを始めるのは控えてください。 |
転職 | いくつもの職場を転々とすることになります。 今の場所に留まれるならその方が良いです。 |
運勢 | 大変でもただ耐え抜くしかありません。 今後の運勢を見た場合はこれまでと変わらないとします。 |
金運 | 流れるばかりで留まりません。 使う以上に稼ごうとすれば徐々に改善します。 |
失せ物 | 諦めるしかありません。 完全に壊れてしまっているか、誰かの手に渡っています。 |
坎為水(かんいすい)の爻|小象の解説
四爻から上爻までが正位を得ています。五爻では陽の気が増すので好転しやすくなりますが、上爻は陰の気が強まるのでかなり注意しなければなりません。ただし、同じく陰の気が強まる四爻はかえって状況を変えるチャンスを得られるでしょう。
初爻から三爻までは不正となり、中でも初爻・三爻は重大な物事を見落としがちです。
上爻の意味 | これまでの行いを咎められます。大きな力に裁かれる場合もあるでしょう。もう打つ手はなく、どれだけつらくとも受け入れるしかありません。 |
五爻の意味 | 希望の光が差し込みますので、このまま耐え抜きましょう。多少つらいことがあったとしても間もなく収まっていきます。 |
四爻の意味 | 縁の下の力持ちを心がけると幸運に恵まれます。影に隠れているうちは問題ありません。なお、お世辞は裏目に出やすいです。 |
三爻の意味 | 今までの過失の積み重ねによって身動きがとれなくなります。しかし打開策はなく、ただ流れが変わるのを待つしかありません。 |
二爻の意味 | 運気の流れが穏やかになるため、簡単なことなら成し遂げられるようになるでしょう。ただし勢いに任せて大きなことにまで手を出してはいけません。 |
初爻の意味 | 半端な状態で物事を進めようとして負のスパイラルに陥ります。考えないの状態ならけっして動かないことです。 |